1円を拾ったはなし

僕が小学生の頃の思い出話


一緒に下校した友達が道端で1000円札を拾い、「これどうする?」みたいな話をした。僕は「どうする?」というような、迫られる質問が苦手な子供だった。「うーん…」と、曖昧な返事をしたような気がする。

 

「交番に持って行くか」と友達が言ったので、僕もついていった。
僕という少年はとりあえず友達の後ろについていく少年で、友達という少年は自分から進んで行動を起こす少年だった。


通学路の途中に小さな交番があるので、お巡りさんに1000円札拾ったことを話し、友達がお巡りさんに渡された紙に色々と書いた。(拾得物件預り書)

書類を書き終えた友達がお巡りさんに褒められているのを見て、僕は羨ましいなと思ったし、よく分からない書類を前にしてもスラスラ書ける彼は大人なんだなと子供ながらに感じた。


次の日の下校は僕一人で下校して、昨日の友人の真似をしてどこかにお金が落ちていないかと下を向きながら歩いた。人の真似ではありますが、引っ込み思案な少年が初めて自分から行動を起こした気がした。

 

すると、1円玉が落ちていた。大きなお金ではないけれど、これも人のお金にはかわりない。

 

僕は友達のしたように早速交番に1円を届けた。お巡りさんに1円を渡し、僕には書類が渡された。難しい質問は書いていなかったけれど、何となくワクワクしたものだ。
昨日の友達が行ったように書類を書き終えると、お巡りさんは「偉いね」と褒めてくれた。


僕は死ぬほどうれしくなって、帰ったその日にはさっきの出来事を元に「1円拾った」というタイトルでマンガを書いた。絵が苦手だったので人物は棒人間だけれども、また少年は自分から行動を起こした。

それを父親に見せて爆笑されたのをよく覚えている。それは悪い意味ではなく、アイデアが面白いという意味での笑いだった。どうする?から始まり、行動を起こすことで、自分の持つものが見えることもあるのだと知った。結局そんな大切なことを忘れてしまう時期はその後に何度もありましたけれども 笑。

 

そして、この「1円を拾った」には「100円拾った」という続編がある。

100円を拾った少年が100円を交番に届けると何故か冤罪になってしまい、牢屋に入れられてしまう。そこで同じ牢屋に閉じ込められていた、おじいさんと脱獄を計画するというストーリーだった。

前作(?)は真実を元に描いたノンフィクション物だったが、こちらはエンタメを重視した完全なフィクションでした。

 

なんともタイトルからは想像できない、ハリウッド映画のようなスケールの大きいシナリオだろう 笑。それから数年後にザ・ロックという映画を観た時に、ふと自分のマンガを思い出して恥ずかしくなったのが懐かしいです。

 


しかし、この「100円拾った」は僕の気まぐれに振り回されて未完で終わったので、少年とおじいさんは結局脱獄出来ていないのです…笑。紙の上ではバッドエンドですが、僕の頭の中では、仲良く海を眺めている二人がいるので救われたのだと思います。


皆さんにも、そんな変わった子供時代の思い出が一つや二つあるのではないでしょうか?